EyeLogic視線入力デバイス スタートアップガイド
EyeLogicの視線入力デバイスは、科学的な研究用途に求められる高い精度と厳格な基準を満たしている視線入力デバイスです。低いレイテンシーと優れた測定精度を備えており、頭部の動きに対しても高い許容度を持っているのも特徴のひとつです。また、持ち運びやすさと使い勝手の良さの面でも高い製品品質を誇ります。
EyeLogicには、LogicOneとLiteの2種類の視線入力デバイスがあります。LogicOneは、最大250Hzのサンプリングレートを持つ 高精度なハイエンド視線入力デバイスです。一方、Liteは小型で携帯性に優れていることから 研究室内だけではなく それ以外の場所で小型モニターやノートパソコンを使用して測定する用途にも適しています。Liteは最大120Hzのサンプリングレートを持つ エントリーグレードの視線入力デバイスです。
※ 視線入力デバイスから集録した視線データの保存、解析(例えば視線の停留やサッカード運動の判別)やディスプレイ表示用の視覚刺激の作成は別途、視線計測・解析用ソフトウェアInsightLabをご購入下さい。
目次
必要なもの
- EyeLogic LogicOne視線入力デバイス またはLite視線入力デバイス
- 取付用金属プレート(EyeLogic視線入力デバイスに付属されます)
- EyeLogic Serverソフトウェア
1. EyeLogic LogicOne視線入力デバイス またはLite視線入力デバイス
LogicOne と Lite は、どちらも科学的研究用途向けに開発された視線入力デバイスです。
LogicOneは、最大250Hzのサンプリングが可能な高精度かつ低遅延の研究用途向けの視線入力デバイスです。 Liteは最大120Hzのサンプリングレートを持つ コンパクトサイズの視線入力デバイスです。
2. 取付用金属プレート
3. EyeLogic Serverソフトウェア
EyeLogic ServerはEyeLogic視線入力デバイスを接続されたコンピューターで使用するための駐在ソフトウェアです。 モニター設定、デバイスのハードウェア設定、キャリブレーション、そしてそのキャリブレーションの精度検証など 様々な機能が搭載されています。
EyeLogic Serverについて
EyeLogic Serverはバックグラウンドで動作し、タスクバー内のトレイアイコンからアクセス可能です。主な機能には、視線入力設定、キャリブレーション、そしてそのキャリブレーションの精度検証機能が含まれています。これには、検出されたハードウェアデバイスでのみ動作するアイトラッキングのON/OFFスイッチや 正確なキャリブレーション後に利用可能な視線カーソルのON/OFFスイッチ、そして瞳孔やデバイスの位置を簡単に確認できる追跡モニターが含まれます。また、システムをカスタマイズするための複数のメニューオプションも用意されています。
ソフトウェア構造
以下の図はEyeLogic視線入力デバイスに伴うソフトウェア構造を示しています。 EyeLogic RuntimeがLogicOneからの瞳孔の画像収集、処理、そして視線情報の抽出をおこないます。
EyeLogic Server を起動すると、タスクバー内の右側部分のトレイアイコン表示部分に以下の画像のようなアイコンが現れ、そのアイコンによって視線入力デバイスの現在のステータスが分かります。
濃い灰色のアイコンは、ソフトウェアが動作中でありながら、使用可能なハードウェアデバイスが検出されていないことを示します。これは、デバイスが接続されていないか、ライセンスがまだ付与されていない可能性があることを意味します。 | |
明るい灰色のアイコンは、ソフトウェアが動作中で、EyeLogicハードウェアデバイスが検出されている状態を示します。視線データ収集の準備は整っていますが、この時点ではまだ収集は行われていません。 | |
水色のアイコンは、ソフトウェアが動作中で、検出されたハードウェアデバイスがデータを収集している状態を示します。つまり、ソフトウェアがアクティブに瞳孔の画像を取得し、処理していることを意味します。 |
次の画像は、(左) デバイスが接続されていない状態、(中央) デバイスが接続されているがアイトラッキングが開始されていない状態、(右) アイトラッキングがONになっている状態、の EyeLogic Serverの画面を示しています。
注意:Windowsの透過効果の設定がオンになっているとEyeLogic Serverの動作が遅くなってしまうことがあります。その場合は まずWindowsの透過効果の設定をオフにしてから EyeLogic Serverをお使いください。
EyeLogic Serverの基本機能
キャリブレーション
視線入力デバイスが有効な視線データを収集するためには、収集前にキャリブレーションが必要となります。キャリブレーションでは、被験者の視線動作に対して最適化された視線位置が出力されるように計算処理がおこなわれます。注意点として、被験者が変わる場合は その被験者に対してのキャリブレーションを 再度実施する必要があります。また同じ被験者であっても 測定環境が変わる場合は再度キャリブレーションをおこなうことをお勧めします。
アイトラッキングのスイッチをONにした状態で 「Calibration」タブの中にある「Calibrate」ボタンをクリックするとキャリブレーションが開始します。キャリブレーション中、画面上には移動する点が表示されます。そして、これらの点が画面上の複数のポイントで一時停止します。被験者はこの点が一時停止をしている間 それらの点に焦点を合わせてもらいます。EyeLogic Serverでは1点、2点、5点、そして9点のキャリブレーション方法を提供しています。9点キャリブレーションでは高いデータ精度を実現できますが 1点、2点などのキャリブレーション方法に比べてキャリブレーション作業に時間が長くかかってしまいますのでご注意ください。
検証
検証は、事前におこなったキャリブレーションの精度をテストする際に使用できます。これは事前にキャリブレーションが完了している場合にのみ使用可能となります。手順は4点キャリブレーションと似ており、結果は4つの点における測定された左右の視線の位置と実際のターゲットの位置の誤差の平均偏差が算出されます。検証の実施はオプションであり、必ずしも実行する必要はありません。「Calibration」タブの中にある「Validate」ボタンをクリックすると検証が開始します。
モニター選択のドロップダウンメニューには、システムに接続されたすべてのモニターがリストアップされます。モニターを変更するとキャリブレーション後の結果に影響が出るため、モニターを変更する場合は 再度キャリブレーションをおこなってください。
設定
「Settings」タブでは、以下の操作が可能です。
- 「Auto Detect」が失敗した時 モニターの設定などを手動で修正できます。
- サンプリングレートを設定します。この選択肢は、デバイスの種類によって異なります。
モニター設定、ジオメトリ、サンプリングレートはトラッキング精度に影響を与えますので、これらの設定はトラッキングが無効の時にのみ変更可能です。モニターの自動検出が失敗した場合、「Auto Detect」ボックスのチェックを外し、各プロパティを手動で編集することができます。解像度は、選択されたモニターのピクセル数に基づいており、サイズはモニター画面の物理的寸法(ミリメートル単位)に基づいています。
高さは、アイトラッカーの上端とモニター画面の最下点の間の垂直方向の差としてミリメートル単位で定義されます。奥行きは、アイトラッカーの上端とモニター画面の間の水平距離として定義されます。角度(度単位)は、ユーザーの上方向へのデバイスの傾きを示し、デフォルトは20度です。
その他
「Clients」タブでは、「Allow Remote Clients」を有効にすることでリモートやローカルネットワークを通して別のコンピューターやソフトウェアに接続することが出来ます。
「Info」タブには、ソフトウェアバージョン、シリアル番号などの一般情報が表示されます。
「ET Com」タブ(ライセンスにSMI統合アドオンが含まれている場合のみ表示)は、SMI iView X API ETコマンドプロトコルのサポートを有効にする機能です。このプロトコルを使用すると、Experiment CenterおよびiView X APIを介してEyeLogic Eye Trackingデバイスを使用できます。
EyeLogic視線入力デバイスの使用手順
1. 下準備
まずは、ディスプレイの下端中央に金属プレートを取り付けます。プレートには両面粘着テープが既に付いています。透明な保護フィルムを剥がしてモニターの枠(フレーム部分)に取り付けてください。(※モニター画面自体には取り付けないでください。モニター画面を傷付ける恐れがあります)
Windows OS対応のファイルをダウンロードし、解凍した「OpenBCI_GUI」フォルダをコンピュータ内の好きな場所(例:ドキュメントフォルダやデスクトップなど)に配置して下さい。
2. 視線入力デバイスの取付け
EyeLogic視線入力デバイスを金属プレートに取り付けます。デバイスのセンサー部分(ガラスのようなつやがある部分)をユーザー側に向けて USBケーブルはユーザーから見て右側にくるような向きにしてからデバイス背面のくぼみを金属プレートにはめ込みます。内蔵されている磁石によってデバイスは金属プレートにしっかりと固定されるはずです。
3. EyeLogic Serverのインストール
EyeLogic ServerのWindowsインストーラーをダウンロードして、「EyeLogic.msi」というファイルを起動してください。管理者権限を要求するようなメッセージが出てくる場合もありますが「OK」を押してインストールを進めてください。ライセンス条項を確認した上で 同意を選択するとインストールが開始します。
4. EyeLogic Serverの起動
インストールが完了するとスタートメニューまたはデスクトップ上に「EyeLogic Server」というアイコンが現れます。アイコンからEyeLogic Serverを起動すると、タスクバー内のEyeLogicのトレイアイコンが表示されるようになります。EyeLogic Serverの画面を立ち上げる場合は EyeLogicのトレイアイコンを左クリックしてください。
注意:Windowsの透過効果の設定がオンになっているとEyeLogic Serverの動作が遅くなってしまうことがあります。その場合は まずWindowsの透過効果の設定をオフにしてから EyeLogic Serverをお使いください。
5. 視線入力デバイスの接続
EyeLogic視線入力デバイスのUSBケーブルをコンピューターのUSB3対応のポートに接続します。数秒後、WindowsからUSB接続のサウンドが再生されます。明るい灰色のEyeLogic Serverのトレイアイコンが表示され、デバイスが検出されて使用可能な状態であることを確認します。
6. アイトラッキングの開始
アイトラッキングを開始するには EyeLogic Server画面の左上にある「Tracking」のスイッチをONに切り替えます。視線入力デバイスが動作しセンサー部分の赤外線LEDが点灯します。 これによりユーザーがデバイスの前に座ると、EyeLogic Serverの画面の右上にある追跡モニターで瞳孔の位置情報が確認できます。
7. モニターのセットアップ
アイトラッキングを無効にし、「Settings」タブに進みます。ここにはディスプレイ(モニター選択、サイズなど)とジオメトリ(高さ、深さ、角度)の設定がありますが、通常これらは自動的に調整されます。ただし、設定が正しくないと判断した場合は、前述の「設定」の項目に記載されている内容に従って、手動で変更してください。
8. キャリブレーション
「Calibration」タブに移動し、希望するキャリブレーション方法(1点、2点、5点、9点)を選択します。追跡モニターに従って、ユーザーの瞳孔が追跡ボックスの中心に位置するように頭の位置を調整します。キャリブレーション中、ユーザーには表示されるターゲットを注視してもらうよう指示をします。「Calibrate」ボタンをクリックすると、キャリブレーションが開始されます。キャリブレーションの有効性を確認するためには、「Gaze Cursor」のスイッチをONにして カーソルの位置がユーザーの視線位置と常時一致しているかを確認します。もしカーソルが安定して表示されていないような場合は 頭の位置や座る位置を調整し 瞳孔がデバイスから安定してトラッキングできる位置を調整してから 再度キャリブレーションをおこなってください。
9. キャリブレーションの検証 (オプション)
キャリブレーションが成功した後、検証機能を使用しキャリブレーションの質を推定することができます。検証では 画面上4点を用いた視線位置精度の検証がおこなわれます。ここでは左右の目の視線位置と実際のターゲットの位置の誤差の平均偏差が算出されます。
これで視線入力デバイスのセットアップは完了です。デバイスを使用する実験の準備は整いました。