OpenBCIを使った脳波、筋電図、心電図の同時測定入門
OpenBCI Cytonボード(16チャンネル)を使用することで、より多くの信号を同時に集録することが出来ます。このチュートリアルでは、OpenBCI Cytonボード(16チャンネル)を使用し EEG(脳波)、EMG(筋電図)、ECG(心電図)データを同時に測定する方法を解説します。
脳波、筋電図、心電図の同時測定の一例として ここではEEGデータ(3チャンネル)、EMGデータ(1チャンネル)、ECGデータ(1チャンネル)を同時測定します。このチュートリアルの内容を応用することで測定するチャンネル数を変更したり OpenBCI Cytonボードを16チャンネルから8チャンネルに変更することが可能となります。
チュートリアルを開始する前に、以下のリンクにある各生体信号の測定入門を読んだことがない方は まず以下のリンクを確認することをお勧めします。
目次
必要なもの
- OpenBCI Cytonボード + Daisyモジュール(このチュートリアルではOpenBCI Cytonボード(16チャンネル)を使用します)
- USBドングル(OpenBCIボードに付属されます)
- 充電式バッテリー(または電池ケース)
- EEGヘッドセット(例: Ultracortex Mark IV、EEGキャップ、EEGヘッドバンド等。 このチュートリアルではEEGヘッドバンドを使用します)
- スナップケーブル
- ソリッドジェルタイプ ディスポーザブル電極
ハードウェアのセットアップ
EEG、EMG、およびECGはそれぞれ異なるチャンネルセットアップが必要です。ここでは同じOpenBCIボード上でEEG、EMG、およびECG を同時に測定する為のセットアップ方法を解説します。
心電図測定(3点誘導法)のセットアップ
心電図測定にはスナップケーブル3本とディスポーザブル電極3個を使用します。
まず2本のスナップケーブルをDaisyモジュールのN1P上段と下段のピンに接続します。続いて 残り1本のスナップケーブルをDaisyモジュールのBIAS下段(空きがなければ上段)のピンに接続します。すべてのケーブルを接続したら ディスポーザブル電極をスナップケーブルに取り付けます。
筋電図測定のセットアップ
筋電図測定にはスナップケーブル3本とディスポーザブル電極3個を使用します。
2本のスナップケーブルをDaisyモジュールのN8P上段と下段のピンに接続します。続いて 残り1本のスナップケーブルをDaisyモジュールのAGND下段のピンに接続します。すべてのケーブルを接続したら ディスポーザブル電極をスナップケーブルに取り付けます。
ECGとEMGのケーブルはそれぞれ以下の画像のようにDaisyモジュールに接続されます。
脳波測定のセットアップ
このチュートリアルでは脳波測定の為のヘッドセットにはEEGヘッドバンドを使用します。
2つのイヤークリップはOpenBCI CytonボードのSRB下段とBIAS下段(空きがなければ上段)のピンに接続します。続いて3本の電極ケーブル(スナップケーブル)はOpenBCI CytonボードのN1P下段、N2P下段、N3P下段のピンにそれぞれ接続します。
全てのケーブルが接続されたら OpenBCI CytonボードとDaisyモジュールを組み合わせてハードウェアのセットアップは終了です。 システムが以下の画像のようになっていることを確認して下さい。

体に電極を配置
最後にECG、EMG、EEGのそれぞれの電極を体に配置します。
EEGヘッドバンドは額に電極がしっかり接触するようにEEGヘッドバンドを頭に巻き付けて下さい。
ECGとEMGの電極の配置位置はOpenBCIを使った心電図測定入門とOpenBCIを使った筋電図測定入門をそれぞれ参照して下さい。
OpenBCI GUIを使用したデータ集録
OpenBCI GUIを起動して 「CYTON (live)」→「Serial (from Dongle)」を選択後 下の画像の赤丸部分の「16 CHANNELS」のボタンをONにしてください。その後 「START SESSION」のボタンをクリックしてセッションをスタートします。(OpenBCI GUIをはじめて使う方は まずOpenBCI Cytonスタートアップガイドをご覧下さい)
注)OpenBCI GUIのバージョンの違いによって ボタンなどの表記が若干異なりますのでご了承下さい。
「Time Series」ウィジェット内の波形チャートではEEGデータがチャンネル1、チャンネル2、チャンネル3、EMGデータがチャンネル9、ECGデータがチャンネル16に表示されますので 使用していないチャンネル(1、2、3、9、16以外)は下の画像の赤く囲まれた「Channels」のボタンを操作して非表示にします。(下の画像では既に波形が表示されていますが このチュートリアルのこの時点では まだデータ集録を開始していないので 「Time Series」ウィジェット内に波形が表示されていなくても問題ありません)
続いて「Hardware Settings」のボタンをクリックし、下の画僧のようにチャンネル9および16の「SRB2」をOffにします。
すべての準備が出来たら OpenBCI GUIのウィンドウの左上にある「START DATA STREAM」ボタンをクリックしてデータ集録を開始して下さい。以下の動画のように脳波、筋電図、心電図が同時に測定されます。
OpenBCI GUIはデフォルトで日時をもとにしたファイル名のログデータファイルをコンピューター内に保存します。 OpenBCI GUIバージョン4以降では ログファイルの保存先はドキュメントフォルダの「OpenBCI_GUI」フォルダの中にある「Recordings」というフォルダの中になります。バージョン3から以前のバージョンでは「OpenBCI_GUI.exe」と同じフォルダ内にある「GUISavedData」というフォルダ内に保存されます。
注)OpenBCI GUIで保存されるログデータはフィルタやスムージングなど信号処理後の信号データではなく 処理前の生信号データです。フィルタ済みのログデータが必要な場合は 自身でフィルタ処理をおこなうか 弊社の技術・研究支援サービスをご活用下さい。
OpenBCIを使った計測入門
OpenBCIボードを使用して生体信号を測定する方法については、以下のチュートリアルを参照下さい。