OpenBCI Cyton スタートアップガイド
このスタートアップガイドでは、CytonでOpenBCI_GUIアプリケーションを使用して、信号を集録する方法について説明します。OpenBCIのYoutubeチャンネルではチュートリアルがございますので動画を希望される方はご覧下さい。
注)OpenBCI Cyton集録ボード(16チャンネル)をお持ちの方は このスタートアップガイドをご一読いただいてからOpenBCI Cyton + Daisyモジュールセットアップガイドをご覧下さい。
目次
- 必要なもの
- OpenBCI GUIのダウンロード&インストール
- OpenBCI Cytonボードのセットアップ
- OpenBCI GUIを実行
- LIVE (from Cyton)を選択
- 転送プロトコルを選択
- USBドングルが割り当てられたシリアルポートを探す
- チャンネル数(8または16)を選択
- オプション設定
- 「START SYSTEM」ボタンをクリックしてボートとの接続を確立
- OpenBCI Cytonボード接続の確立後
- OpenBCIを使った計測入門
必要なもの
- OpenBCI Cyton 集録ボード
- OpenBCI Cyton USBドングル(OpenBCIボードに付属されます)
- 充電式バッテリー(または電池ケース)
- プラスチック台(OpenBCIボードに付属されます)
- 電極とその他の備品(例:皿電極付きケーブルと電極用ペースト)
1. OpenBCI Cyton集録ボード
このスタートアップガイドではCyton ボード (8chまたは16ch)を使用されるお客様を対象としております。Ganglionボードをお使いのお客様はGanglionスタートアップガイドをご覧下さい。
2. OpenBCI Cyton USBドングル
OpenBCI Cyton USBドングルはOpenBCI Cyton ボードを購入すると付属で付いてきます。USBドングルにはRFDuino無線モジュールが搭載されておりCytonボードはこのドングルを介してコンピューターと無線で接続が出来ます。この接続はシリアル通信として認識されLinuxやMacの場合は「/dev/tty」、Windowsの場合は「COM」として表示されます。
3. 充電式バッテリー(または電池ケース ※2023年6月以前の製品)
USBチャージャーで十分にバッテリーを充電してからお使い下さい。Cyton ボードには特定の入力電圧範囲があります。その入力電圧範囲はCytonボードの裏側の電源供給端子の隣に明記してあります。これらの範囲を超える電圧の供給をさせた場合 ボードを損傷させる恐れがありますので十分にご注意下さい。ボードの損傷を防ぐためにCytonボードに付属の充電式バッテリー(または電池ケース)を使用することをお勧め致します。
重要:Cytonボードに付属の充電式バッテリー以外のバッテリーや電池ケースを使用する場合はCytonボードに電源を供給する前に ケーブルの極性・赤(+)/黒(-)を十分に確認して下さい。極性が間違っているとボードが損傷する恐れがあります。
4. プラスチック台 4個
Cytonボードには4つのプラスチック台が付属されており、その台をボードに取り付けることにより作業中の安定性を高めることが出来ます。
注)2023年6月よりOpenBCI集録ボードに ボード専用のケースが標準で付属されるようになりました。 プラスチック台の代わりにボードケースをご利用頂くことも可能です。
5. 電極とその他の備品(例:皿電極付きケーブルと電極用ペースト)
皿電極付きケーブルと電極用ペーストを購入した場合 上記の写真のようなケーブルと容器が入手出来ます。
もし弊社のEEGキャップや既存のEEGキャップ(タッチプルーフコネクタで接続できるもの)を電極として利用する場合は タッチプルーフアダプターをご利用下さい。このアダプターはCytonボードのコネクタ(ピンヘッダ)を1.5mmオス型タッチプルーフに変換します。
OpenBCI GUIのダウンロード&インストール
OpenBCI GUI はOpenBCIボードからのデータを集録、解析、視覚化、そして記録することの出来る強力なソフトウェアツールです。GUIではリアルタイムデータの表示や保存したデータのプレイバック(再生)などがおこなえます。また通信機能を使いMATLABやサードパーティーのソフトウェアにリアルタイムでストリーミングをすることも可能です。
OpenBCI GUIをダウンロード
お使いのOSに対応したファイルをOpenBCI社のダウンロードページ からダウンロードして下さい。
- ダイナブレイン株式会社ではOpenBCI関連製品のお問い合わせは Windows OSのみの対応とさせて頂いております。その他のOSでのご利用に関するお問い合わせは米国OpenBCI社にお問い合わせ下さい。
Windows OSでOpenBCI GUIをセットアップ
Windows OS対応のファイルをダウンロードし、解凍した「OpenBCI_GUI」フォルダをコンピュータ内の好きな場所(例:ドキュメントフォルダやデスクトップなど)に配置して下さい。
注)OpenBCI GUIはスタンドアロンアプリケーションですのでインストール作業はありません。解凍フォルダ内にある「OpenBCI_GUI.exe」をダブルクリックすることで即座にアプリケーションが実行されます。
OpenBCI Cytonボードのセットアップ
1. OpenBCI USB ドングルをコンピューターのUSBポートに挿し込む
Cyton集録ボードのUSBドングルをコンピューターに挿す前にVirtual COM Port (VCP) ドライバをインストールする必要があります。 このインストーラーはこちらのリンクにある「setup executable」からダウンロード頂けます。
VCPドライバをインストールした後に USBドングルをコンピューターに挿して下さい。
USBドングルの表裏に注意して上の画像のように接続すると青いLEDが点灯します。
注)USBドングル上のスイッチは「RESET」ではなく「GPIO 6」に合わせてからご使用下さい。
2. 充電式バッテリー(または電池ケース)をOpenBCI Cytonボードに接続
USBチャージャーで十分にバッテリーを充電してからお使い下さい。
重要:Cytonボードに付属の充電式バッテリー以外のバッテリーや電池ケースを使用する場合はCytonボードに電源を供給する前に ケーブルの極性・赤(+)/黒(-)を確認して下さい。極性が間違っているとボードが損傷する恐れがあります。十分にご注意下さい。
3. OpenBCI Cytonボードの電源を入れる
Cytonボード右側にあるスイッチを「OFF」から「PC」に合わせて下さい(「BLE」ではありません)。Cytonボードに電源が入るとボード上の青いLEDが点灯するはずです。もしそうでない場合は、スイッチの左側にあるRSTボタンを押して下さい。それでもLEDが点灯しない場合は バッテリー(または電池)がしっかりと充電されているかご確認下さい。
注)必ずUSBドングルをコンピューターに接続してからCytonボードの電源を入れて下さい。もしデータをコンピューターにうまく取り込めていない場合は 一度Cytonボードの電源を切り、USBドングルをコンピューターに挿し直してから 再度ボードの電源を入れて下さい。
OpenBCI GUIを実行
1. LIVE (from Cyton)を選択
上記のステップを実行した後に OpenBCI GUIを起動して下さい。CytonボードをOpenBCI GUIで利用する為には GUIウィンドウの「System Control Panel」の中からデータソースを「LIVE (from Cyton)」に選択して下さい。「START SYSTEM」ボタンを押す前にCytonボードの設定をする必要があります(以下の手順に従ってください)。
注)OpenBCI GUIのバージョンの違いによって ボタンなどの表記が若干異なりますのでご了承下さい。
2. 転送プロトコルを選択
続いて「PICK TRANSFER PROTOCOL」の中から「Serial (from Dongle)」を選択して下さい。
3. USBドングルが割り当てられたシリアルポートを探す
「SERIAL/COM PORT」の中からUSBドングルが割り当てられたシリアルポートを探します。MacまたはLinuxを使用している場合、ポートは以下のような形式で表示されます。
/dev/tty*
Windows OSの場合は ポートは以下のような形式になります。
COM#
もしUSBドングルに割り当てられたシリアルポートが表示されない場合 以下の項目を実施して下さい。
- コンピューターに挿さっているUSBドングルのスイッチが「RESET」ではなく「GPIO 6」になっているか確認。
- 「SERIAL/COM PORT」のリストの下にある「REFRESH LIST」ボタンをクリックしてリストを更新。
4. チャンネル数(8または16)を選択
デフォルトでは「CHANNEL COUNT」は8チャンネルに指定されています。もし16チャンネルのOpenBCI Cytonボードをお使いの場合は「16 CHANNELS」とクリックして下さい。
5. オプション設定
保存するファイル名の変更やSDカードの使用の有無など オプション設定で変更できます。OpenBCI GUIはデフォルトで 日時をもとにしたファイル名のログデータファイルをコンピューター内に保存します。必要に応じで独自のファイル名を指定することも出来ます。 OpenBCI GUIバージョン4以降では ログファイルの保存先はドキュメントフォルダの「OpenBCI_GUI」フォルダの中にある「Recordings」というフォルダの中になります。バージョン3から以前のバージョンでは「OpenBCI_GUI.exe」と同じフォルダ内にある「GUISavedData」というフォルダ内に保存されます。
もしデフォルトのままで良ければステップ6にお進み下さい。
注)OpenBCI GUIで保存されるログデータはフィルタやスムージングなど信号処理後の信号データではなく 処理前の生信号データです。フィルタ済みのログデータが必要な場合は 自身でフィルタ処理をおこなうか 弊社の技術・研究支援サービスをご活用下さい。
6. 「START SYSTEM」ボタンをクリックしてボートとの接続を確立
これでOpenBCI GUIでCytonボードを使用する準備が整いました。「START SYSTEM」ボタンをクリックしてボートとの接続が確立するのを待ちます。通常、接続の確立には3~5秒かかります。
接続を確立している最中は OpenBCI GUIの下にあるコマンドラインに「Attempting to establish a connection with your OpenBCI Board...」と表示されます。
トラブルシューティング
もしCytonボートとの接続の確立に失敗した場合は 以下の手順を試して下さい。
- 正しいシリアルポートが選択されているか確認して下さい。
- Cytonボードの電源をOFFにし、USBドングルをコンピューターから抜いて下さい。その後 USBドングルをコンピューターに再び挿してCytonボードの電源を入れて下さい(スイッチを「PC」に合わせる)。そして再び「START SYSTEM」をクリックして下さい。
- もし上記のステップでも解決しない場合は OpenBCI GUIを一度閉じ、再び起ち上げて下さい。そしてステップ1、2を試して下さい。
- バッテリー(または電池)の残量が十分あることを確認してから 上記の手順を再試行してみて下さい。
- オプション設定の「RADIO CONFIGURATION」の中にある「AUTOSCAN」をクリックしてから 上記の手順を再試行してみて下さい。
7. OpenBCI Cytonボード接続の確立後
Cytonボードの接続が確立されるとOpenBCI GUIのウィンドウの左上に「Start Data Stream」というボタンを押すことができるようになります。
「Start Data Stream」のボタンをクリックするとGUIにストリーミングされたデータが見えるはずです。「Start Data Stream」ボタンの右隣にはノッチフィルタの周波数切替えボタンがあり 交流電源から来るノイズを除去出来ます。
Cytonボードのピンコネクタに沿って指を動かしてみて下さい。
ピンコネクタに指を触れた時 GUIの「Time Series」ウィジェッドや「FFT Plot」ウィジェットに表示されている波形が動いているのが分かります。
これでCtyonボードでのデータ集録の準備が整いました。OpenBCI GUIの各ウィジェットの機能についてはGUIウィジェットガイドをご参照下さい。
OpenBCI GUIでは信号のログデータは.csvまたは.txtファイル形式で保存されます。ログデータ(生データ)の信号処理の方法はこちらをご参照下さい。
OpenBCIを使った計測入門
OpenBCIボードを使用して生体信号を測定する方法については、次のチュートリアルを参照下さい。
- OpenBCIを使った脳波測定入門
- OpenBCIを使った筋電図測定入門
- OpenBCIを使った脈拍測定入門
- OpenBCIを使った心電図測定入門
- OpenBCIを使った脳波、筋電図、心電図の同時測定入門