Ultracortex Mark IV セットアップガイド
Ultracortex Mark IVは、OpenBCI製のデータ集録ボードでの脳波測定を目的とした3Dプリント可能なEEGヘッドセットです。Ultracortex Mark IVはUltracortexの最新版で、国際10/20法に基づく異なる35か所の頭部のロケーションから希望の電極位置を選択することが可能です(Cyton: 最大16チャンネル、Ganglion:最大4チャンネル)。電極にはドライ電極が使用されており 装着時間はウェット電極が使用されている一般的なEEGキャップに比べて大幅に短縮可能です。
Ultracortex Mark IVには3つのオプションがあります。
- 「Print-It-Yourself」はヘッドセットのフレーム等をお客様自身で3Dプリントすることを前提に プリントパーツ以外でUltracortex Mark IVを完成させるために必要な部品が製品として届きます。
- 「未組立」は3Dプリントされたヘッドセットの部品とUltracortex Mark IVの組み立てに必要なすべての部品が「未組立」の状態で届きます。
- 「組立済」は「組立済」の完成されたUltracortex Mark IVが製品として届きます。
注)すべてのオプションのUltracortex Mark IVにはOpenBCIボードは含まれていません。
目次
Ultracortex Mark IVの部品
3Dプリントパーツ
「Print-It-Yourself 」オプションを購入したお客様は以下の3Dプリントパーツを自身でプリントアウトする必要があります(「未組立」、「組立済」オプションにはこれらのパーツはすでにプリントアウトされた状態で製品に含まれています)。以下のリンクからSTLファイルをダウンロードして下さい。
フレーム
Ultracortex Mark IVのフレームは小型の3Dプリンターでもプリントアウトしやすいように2分割 または4分割されたSTLファイルが用意されています。プリントにはサポート素材のマージンが必要であるため 印刷領域が25cm x 22cm x 22cm以上あることが好ましいです(例:Prusa i3)。ここでダウンロードできるフレームのSTLファイルには3つのサイズがあります。頭の周囲の長さによって最適なサイズを選択して下さい( Sサイズ = 42-50cm, Mサイズ = 48-58cm, Lサイズ = 58-65cm) 。
上記の2分割タイプのSTLファイルの利用をお勧めしますが、4分割タイプ(Mark_IV_Frame_Quads)と分割なしタイプ(Mark_IV_Frame_Full)のSTLファイルもこちらに用意されています。
リング
ドライ電極ユニットをフレームに固定するためのパーツです。
OpenBCIボードマウント
OpenBCIボードをフレームに固定するためのケースです。
- BOARD_MOUNT(1個) —STLファイル
OpenBCIボードカバー
OpenBCIボードマウントに被せるカバーです。
- BOARD COVER(1個) —STLファイル
ワイヤークリップ
配線したケーブルをフレームに固定するためのパーツです。
- WIRE CLIPS(30個)—STLファイル
3Dプリンター推奨設定
3Dプリンターを使ってUltracortex Mark IVのパーツをお客様自身でプリントアウトする時 プリンターの推奨設定は以下の通りになります。
フレーム(FRAME_FRONT & FRAME_BACK)
- Material: PLA
- Supports: YES
- Raft: hopefully NO (but if supports aren't sticking, try the raft)
- Infill: 20%
- Layer Height: 0.2mm
- Number of Shells: 3
- Speed while extruding: 50-70% (slow it down if possible; these parts are detailed)
リング(INSERT)、OpenBCIボードマウント&カバー(BOARD_MOUNT & BOARD_COVER)、ワイヤークリップ(WIRE_CLIPS)
- Material: PLA
- Supports: NO
- Raft: NO
- Infill: 20%
- Layer Height: 0.2mm
- Number of Shells: 3
- Speed while extruding: 50-70% (slow it down if possible; these parts are detailed)
3Dプリントパーツ以外の部品
以下のパーツはUltracortex Mark IVを完成させるために3Dプリントパーツ以外に必要な部品です。Ultracortex Mark IV「Print-It-Yourself 」や「未組立」オプションを購入されたお客様には付属品としてお客様のもとに届けられます(「組立済」オプションを購入したお客様には これらの部品が既に組み立てられた状態で届きます)。
スレッドローリングスクリュー (2個)
ケーブル(3個)
くし形ドライ電極ユニット(6個または14個 *チャンネル数による)
フラット型ドライ電極ユニット(2個)
コンフォートユニット(5個)
イヤークリップ (2個)
別途購入が必要な部品
OpenBCIボード(1個)
OpenBCIボード(CytonまたはGanglion)はUltracortex Mark IVには含まれていないため、別途購入する必要があります。
Ultracortex Mark IVの組み立て
3Dプリントパーツ、付属部品、OpenBCIボードが手元に揃ったら 以下の手順でUltracortex Mark IVの組み立てをおこないます。Ultracortex Mark IVの組み立て方法はこちらの動画でもご覧頂けます。
1. フレームを組み立てる
プリントアウトされたUltracortex Mark IVのフレームを瞬間接着剤で結合します。フレームを平面に置くなどして ずれないように慎重に結合して下さい。
2. OpenBCIボードマウントをフレームに取り付ける
2本のネジ(スレッドローリングスクリュー)を使用してOpenBCIボードマウントをフレームの背面(より丸みを帯びだパーツ)に取り付けます。 取り付けの際は以下の画像のように OpenBCIボードマウントの上下が正しいことを確認して下さい。
3. リングをフレームに取り付ける
以下の画像のように フレームのすべての円形の穴(ノード)にリングを取り付けます。フレームの内側からリングを押し込んで下さい。最初に接着剤なしでリングがフレームにフィットするか確認してから 接着剤で取り付けます。このパーツは内側がねじ切りをされており 電極ユニットがネジのように取り付けることが出来るようになっています。
4. コンフォートユニットを取り付ける
コンフォートユニット5つを以下の画像のように Ultracortex Mark IVのフレームのノードに取り付けます。ネジを回すように ユニットを時計回りに回すとフレームの中に入っていきます。すべてのユニットを取り付けたら 実際に頭部にかぶってみてコンフォートユニットの高さを調整して下さい。
5. OpenBCIボードを電源に接続しOpenBCIボードマウントに組み込む
リチウムイオンバッテリーを電源として使う場合
リチウムイオンバッテリーをOpenBCIボードの背面にあるコネクタに接続します。
OpenBCIボードを組み込む前に 以下の画像のようにバッテリーとワイヤーをボードの後ろにきちんと折り込みます。
OpenBCIボードマウントの外側にある4つの突起部分をOpenBCIボードの四つの穴に合わせてはめ込みます。
最後にOpenBCIボードカバーをOpenBCIボードマウントに被せます。以下の画像のように カバーの穴からOpenBCIの端子が現れるように取り付けて下さい。(カバーの取り付けは 素材によっては少しきつく感じるかもしれません。)
電池ケースを電源として使う場合
電源として電池ケースを使う場合 電池ケースをOpenBCIボードマウントの中に格納することは出来ません。よって以下の画像のようにUltracortex Mark IVのフレームに電池ケースをテープなどで固定する必要があります。固定する位置は 使用するドライ電極ユニットの位置と重ならないようにしましょう。画像のように電池ケースのケーブルはOpenBCIボードマウントの穴を通してからOpenBCIボードに接続します。
注)電池ケースを収納するためのアタッチメントを利用する方法もございます。 詳細はこちらをご覧下さい。
電池ケースをOpenBCIボードに接続し OpenBCIボードマウントにはめ込み カバーを被せると以下の画像のようになります。
6. 電極ユニットの配置
Ultracortex Mark IVで使うOpenBCIボードの種類によって 測定できるチャンネル数が変わってきます。まず最初に どの位置に電極を配置するのかを決めましょう。
※ 5mmくし形ドライ電極をお持ちの方は プラスドライバで電極ユニットに取り付けてある標準のくし形ドライ電極を取り外し 5mmくし形ドライ電極に付け替えて下さい。5mmくし形ドライ電極を使用することにより 頭皮-電極間の接触が向上します。
OpenBCI Cytonボード(8チャンネル)を使う場合
ここではOpenBCI Cytonボード(8チャンネル)を使用したときの デフォルトの電極配置位置を用いて説明をおこないます。電極位置のデフォルトとはOpenBCI GUIのHead Plotウィジェットで使用されている電極位置のことを示します。以下の画像のようにHead PlotウィジェットではOpenBCI Cytonボード(8チャンネル)では青色、OpenBCI Cytonボード(16チャンネル)は赤色の電極がデフォルトの電極位置となります。
OpenBCI GUIでのCytonボード(8チャンネル)の チャンネル番号と電極の関係は以下の通りです(電極配置は国際10/20法に基づいています)。
チャンネル番号 |
電極記号 |
1 |
Fp1 |
2 |
Fp2 |
3 |
C3 |
4 |
C4 |
5 |
P7 |
6 |
P8 |
7 |
O1 |
8 |
O2 |
まず 最初に以下の画像のように フラット型ドライ電極ユニット2つをフレームの前方のノード(OpenBCIボードマウントと反対側)に取り付けます。
続いて くし形ドライ電極ユニット6つを以下の画像のように フレームに取り付けます。
7. ケーブルの配線
付属のケーブルを使ってドライ電極ユニットとOpenBCIボードの配線をします。ケーブルには長さの違う三種類(12インチ(約30cm)、8インチ(約20cm)、4インチ(約10cm))があります。
12インチのケーブルから灰色と紫色を、8インチのケーブルから青色、緑色、橙色、黄色を、そして4インチのケーブルから赤色と茶色のケーブルを切り離します。
次に切り離したケーブルをドライ電極ユニットに接続します。以下の表のように 各電極位置に対応した色のケーブルを接続して下さい。
電極 |
ケーブルの色 |
FP1 |
灰色 |
FP2 |
紫色 |
C3 |
青色 |
C4 |
緑色 |
P7 |
黄色 |
P8 |
橙色 |
O1 |
赤色 |
O2 |
茶色 |
ケーブルを電極ユニットに接続するには、以下の画像のようにケーブルのオス側を電極ユニットのケーブルに差し込みます。
ケーブルを電極ユニットに接続した後、フレームに沿ってOpenBCIボードマウント付近までケーブルを配線します(OpneBCIボードのコネクタピンにはまだケーブルの接続をしないで下さい)。配線したケーブルはワイヤークリップを使用して、下の画像のようにフレームに固定します。
8. OpenBCIボードコネクタピンとの接続
配線したケーブルを使って電極ユニットをOpenBCIボードのコネクタピンに接続します。以下の表は電極位置、ケーブルの色、そしてOpenBCI Cytonボードのピンの組み合わせです。
電極 |
ケーブルの色 |
Cytonのピン(下段) |
イヤークリップ |
黒色 |
SRB |
FP1 |
灰色 |
N1P |
FP2 |
紫色 |
N2P |
C3 |
青色 |
N3P |
C4 |
緑色 |
N4P |
P7 |
黄色 |
N5P |
P8 |
橙色 |
N6P |
O1 |
赤色 |
N7P |
O2 |
茶色 |
N8P |
イヤークリップ |
黒色 |
BIAS |
注)Ultracortex Mark IVを使用するためには 付属のイヤークリップ電極(2個)を被験者の両耳たぶに付ける必要があります。これらのイヤークリップ はEEGシステムの基準電圧およびバイアス(コモンノードノイズ除去を備えたグランド)として機能します。
イヤークリップ電極と電極ユニットをOpenBCI Cytonボードに接続すると以下の画像のようになります。
ケーブルの接続が完了したら OpneBCIボードカバーを取り付けて完成です。
OpenBCI Ganglionボード(4チャンネル)を使う場合
Ultracortex Mark IVはOpenBCI Cytonボード以外にOpenBCI Ganglionボードでも使用可能です。OpenBCI Ganglionボードを使う場合は 使用できるチャンネル数は4チャンネルに制限されるため ここでは ステップ6~8でCytonボード用に使われた電極の中からFP1、FP2、O1、O2を使うことにします。
以下の表はGanglionボードのデフォルトの電極位置、ケーブルの色、そしてGanglionボードのピンの組み合わせです。フレームの組み立て、電源の取り付け、電極の配置、ケーブルの配線のやり方等の説明は 前述に説明がされていますので ここでは省略をします。
電極 |
ケーブルの色 |
Ganglionのピン(上段) |
FP1 |
灰色 |
+4- |
FP2 |
紫色 |
+3- |
O1 |
赤色 |
+1- |
O2 |
茶色 |
+2- |
イヤークリップ |
黒色 |
D_G |
イヤークリップ |
黒色 |
REF |
Ganglionボードを使う際は ボードの上のSW1、SW2、SW3、SW4のスイッチは下の画像のように「下」の位置に合わせて下さい(これは信号入力の設定を差動モードからシングルエンドモードに切り替えるスイッチです)。
OpneBCI GanglionボードをOpneBCIボードマウントに組み込み、ボードカバーをかぶせて組立は完了です
OpenBCI Cytonボード(16チャンネル)を使う場合
Ultracortex Mark IVを使って16チャンネルの脳波測定をおこなう場合は OpenBCI Cytonボード(16チャンネル)を使用する必要があります。
電極ユニットの追加
前述で説明したCytonボード(8チャンネル)の電極ユニットの中から前方にある2つのコンフォートユニットを取り外し、くし形ドライ電極ユニットと交換します。更に 以下の画像の赤い丸で囲ってある箇所(6箇所)にくし形ドライ電極ユニットを追加します。
追加のケーブルの配線
Cytonボード(8チャンネル)の時に使用した残りの8インチと4インチのケーブルから灰色と紫色のケーブルを切り離します。そして8インチのケーブルのオス側を4インチのケーブルのメス側につなぎ合わせます(以下の画像のようになります)。
付属の白色のY字スプリッターケーブルのメス側の片方をOpenBCI CytonボードのSRBピン(下段)に接続します。続いて スプリッターケーブルのオス側をイヤークリップ電極に接続します。もう一つのイヤークリップ電極はCytonボードのBIASピン(下段)に接続します。
続いて 8インチのケーブルから青色、緑色、橙色、黄色を そして4インチのケーブルから赤色と茶色のケーブルを切り離します。
16チャンネル用に拡張されたデイジーエクステンションボードの下段のピンに 切り離されたケーブルを使って 追加の電極ユニットを接続します。 電極位置、ケーブルの色、そしてデイジーエクステンションボードのピンの組み合わせは以下の通りです。
電極 |
ケーブルの色 |
デイジーエクステンション ボードのピン(下段) |
F7 |
灰色 |
N1P |
F8 |
紫色 |
N2P |
F3 |
青色 |
N3P |
F4 |
緑色 |
N4P |
T7 |
黄色 |
N5P |
T8 |
橙色 |
N6P |
P3 |
赤色 |
N7P |
P4 |
茶色 |
N8P |
最後にY字スプリッターケーブルの 残ったもう片方のメス側のケーブルをデイジーエクステンションボードのSRBピン(下段)に接続します。 配線が完了すると以下の画像のようになります。
8チャンネルの時と同じくワイヤークリップを使用して、下の画像のようにフレームにケーブルを固定します。
以上でUltracortex Mark IVの16チャンネル版の組み立てが完了です。完成品は以下のようになります。
9. Ultracortex Mark IVを頭部にフィットするように調整
Ultracortex Mark IV の組み立てが完了し 装着する際は電極ユニットが頭皮にしっかりと接触するように調整をおこなう必要があります。電極やコンフォートユニットの頭皮への接触はユニットを回すことで調整できます。ユニットを時計回りに回すと ユニットはフレームの内側に入り込み 反時計回りに回すとフレームの外側へと外れて行きます。
注)電極ユニットを回す時は 回し過ぎてケーブルに負担をかけないように注意して下さい。 ねじれなどでケーブルに負担をかけ過ぎるとケーブル内部で断線がおこる可能性があります。ユニットを回転させる時は 出来るだけ電極ユニットからケーブルを外し、それからユニットを回転させて下さい。
以上で Ultracortex Mark IVのセットアップは完了です。 OpenBCI GUIを使い脳波を測定してみましょう。